- 2021年8月10日
当院院長が「18人の名医・専門家が極意を伝授 糖尿病 自分で治す最強辞典」(マキノ出版
9月5日発行)で糖尿病専門医として、運動療法について解説を行いました。
当院院長が「18人の名医・専門家が極意を伝授 糖尿病 自分で治す最強辞典」(マキノ出版
9月5日発行)で糖尿病専門医として、運動療法について解説を行いました。
更新日:2月13日
当クリニックの院内報「GYC通信Vol.12」を発行しました。今回は「運動不足を見直そう」「妊婦に起こりうる高血糖」「糖尿病における欠食の落とし穴」です。是非ご覧ください。
運動不足を見直そう
コロナ感染が長引いている中、なかなか運動ができない方も多いのではないでしょうか。テレワークや外出自粛でずっと座りっぱなしになり、知らず知らずのうちに運動不足になっています。
運動不足が目に見えて増加
コロナ禍で「屋内で運動すること」が増えた人は2.5%とほとんどおらず、減った人が22.1%であることが分かりました。また、「屋外で運動すること」が減った人も18.1%となっています*1。運動だけでなく歩くこと自体も減ってきており、1日平均歩行数が6,000~7,000歩の中、3,000歩未満の人が約3割に急増したといわれています(図1)。
* 1 2020 年5 月第一生命経済研究所の調査
加えて日本人は座位時間が長く、シドニー大学の研究者が行った調査では、世界20カ国の座位時間平均が日本人は7時間で世界1位でした。座位時間が長い上にコロナ禍での運動不足により、からだに悪い状態が加速しています。
運動不足が原因で約5万人が死亡
厚生労働省によると、運動不足は喫煙、高血圧に次いで多い死亡数の原因となっています(図2)。運動不足は心筋梗塞などの循環器疾患や悪性新生物(がん)の引き金となり死因に繋がります。
つまり、たかが運動不足と思われますが、命にも関わってくるのです。
銀座泰江内科クリニック流運動不足対策方法
時間がない人でも取り入れやすい、すきま運動を3つご紹介します。
・食直後に階段昇降5分、特に下りは効果アップ
・約3分のラジオ体操
・座りっぱなしを避け、30分に1度は立ち上がる
大事なことは、自分が続けやすいものから始めることです。特に5分間のすきま運動の繰り返しは血糖値改善に効果があるので、コツコツ続けて運動不足を解消していきましょう!
妊婦に起こりうる高血糖
高血糖は、糖尿病の方だけが気をつけるものではありません。妊娠を機に糖代謝異常になる方は約8人に1人と言われています※1。妊娠前に糖尿病ではない方にも、高血糖は起こりうることなのです。さらにコロナ禍には、食事の偏り、運動不足、ストレスなど高血糖を招くリスク因子がたくさんあるため、より一層気をつける必要があるのです。
なぜ妊娠すると血糖値が上がりやすくなる?
妊娠すると胎盤から出るホルモンの働きにより、血糖値を下げる
ホルモンであるインスリンの働きが抑えられます。さらに、胎盤で
インスリンを壊す働きの酵素もできるため、インスリンが効きにくい
状態(インスリン抵抗性)となり、血糖値が上がりやすくなります※2。
※2:国立成育医療研究センター
どんな人がなりやすいの?
もともと耐糖能に異常がない人は、妊娠しても高血糖になりません。しかし、糖尿病家族歴、肥満、巨大児出産の既往、加齢などのリスク因子があると、胎盤形成によるインスリン抵抗性に後押しされるかのように、妊娠糖尿病を発症してしまう可能性があるのです。高血糖には自覚症状がありません。早期に発見するためにも定期健診は欠かさず行いましょう。
赤ちゃんの為にも高血糖は放置厳禁!!
医療機関で診断されたら、医師の指導の下、以下の方法を用いて血糖コントロールを行います。
<食事療法>
胎児の成長に必要な栄養を摂ることが基本となりますが、過度な体重増加や食後高血糖に注意する必要があります。食事エネルギーの目安は、標準体重(kg)※×30kcalを基本とし、妊娠周期に合わせて付加していきます。 ※標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
<自己血糖測定>
自宅で血糖値を測定し、1 日の血糖の変化を把握することで、血糖のコントロールに役立てます。さらに食事や運動などをメモすることで、血糖値が上がりやすい・上がりにくい食べ物や習慣を把握することもできます。
表2 の数値を目標に血糖コントロールを行い、それでも高血糖が抑えられない場合には、1 回の食事量を減らす分割食や、インスリン療法などを用います。
血糖値が高い状態での妊娠は、母体はもちろんのこと、赤ちゃんにも先天奇形や巨大児、流産といった影響を与える可能性があるため、正しい知識を持って血糖コントロールを行いましょう!
令和3年度 第21回日本糖尿病療養指導士認定試験に当院スタッフ2名が合格しました!診療後に勉強会を行ったり、GYC通信を作成し情報発信を行ったりと、日々研鑽をかさねてきた結果です。今後も質の高い療養指導を目指していきます。