当クリニックの院内報「GYC通信Vol.8」を発行しました。特集は糖尿病神経障害の怖さと節酒で疾患リスクを回避しようです。是非ご覧ください。
糖尿病性神経障害の怖さ
糖尿病の方で、「足に違和感がある」「冷感やしびれがある」といった症状をお持ちの方はいませんか。その症状は、糖尿病性神経障害の可能性があります。

糖尿病性神経障害とは
糖尿病三大合併症の一つで、高血糖状態が持続することが原因で起こります。手足のしびれや痛み、下痢や便秘を繰り返す、立ちくらみ、発汗異常、尿が勢いよく出ないなど、さまざまな形で全身に現われます。逆に、触った感覚や痛み、熱さが分からないといった感覚麻痺も起こります。
糖尿病性神経障害はいつ起こるか
個人差はありますが、糖尿病と診断された時期と同じに痛みが起こる方と、糖尿病と診断されてから3~5年の間に痛みが起こる方が多く、6割以上が糖尿病と診断されてから5年以内には、なんらかの症状が起こる可能性があります。

糖尿病性神経障害が起こる仕組み
糖尿病で高血糖状態が続くことにより、ソルビトールという物質が神経細胞に蓄積します。そして神経線維に異常が生じ、感覚麻痺が起こるといわれています。また、高血糖で毛細血管の血流が悪くなるため、神経細胞に必要な酸素や栄養が不足することも原因と考えられています。
「痛みなどの症状を初めて感じた時期(糖尿病と診断されてから~年後)」

糖尿病性神経障害はなぜ怖いか
神経が麻痺して感覚がなくなることにより怪我ややけどをしても気づかず、その傷口が潰瘍や壊疽になることで、最悪の場合その部分を切断しなくてはいけなくなるからです。

……壊疽から足を守る!
壊疽で足切断!
壊疽とは、足などの傷口に細菌が感染して化膿してしまい、さらに皮膚から細胞が死滅し腐ってしまう状態です。
壊疽が部分的であれば削ることが可能で足の切断は免れますが、広範囲となり治療が見込めないほど重篤な場合は、命を守るために足を切断しなければなりません。
現在年間約3000人の糖尿病患者が足を切断しています。また、足潰瘍がある患者の年間の死亡率は2.8%です。5年生存率は潰瘍がない場合は95%であるのに対し、潰瘍があると88%に
下がることがわかります。
これは潰瘍によって死亡リスクが1.77倍に上昇していると言えます。足を切断するほど症状が進行している場合は生命予後が非常に悪いことがわかります。
また、切断した足と反対側の足にも糖尿病足病変を再発しやすく、再度切断するリスクが高くなります。

いますぐできるフットケア
<セルフフットケアのポイント>
①毎日足を観察する
②足を清潔に保つ
③乾燥している場合は、保湿クリームを塗る
④深爪、巻き爪予防のため、爪は切りすぎないようにする
⑤自分の足に合った靴を選ぶ
⑥靴下を履いて、傷から足を守る
⑦やけどに注意する

足を失わないためには
足切断は予後の生活に大きな影響を与えます。足に冷たさを感じたり、しびれたり、感覚が鈍くなったりと足の異常に気づいたらすぐに医師へ相談しましょう。
節酒で疾患リスクを回避しよう!
昔から適度な飲酒には、 ストレスを和らげたり、 リラックスできる効果があると言われています。 お酒のカロリーは 1g あたり 7kcalと比較的高いですが、 アルコール自体は体に脂肪として蓄積されにくい 「エンプティカロリー」 とされています。 ただし、過度な飲酒には食欲増進作用や、 がん ・ 肝疾患 ・ 脂肪肝 ・食道炎 ・ 胃炎 ・ 不眠などのさまざまな健康問題の原因になるので、節度を守った飲酒が大切です。
適度な飲酒は疾患リスクを下げる?
右のグラフでは、 虚血性心疾患・ 脳梗塞 ・ 2 型糖尿病などの疾患は、 お酒を全く飲まない方に比べて、 適度な飲酒がある方の方がリスクが低くなることを示しています。 つまり、 糖尿病といっても禁酒をしなければいけないのではなく、節酒を心がけることで、 糖尿病リスクの低下が期待できるのです。

適度な飲酒とは
1日純アルコールに換算して 20g程度!
・ ビール中瓶 1 本 (500ml)
・ 日本酒 1 合 (180ml)
・ 酎ハイ 7% 1 本 (350ml)
・ ワイングラス 2 杯 (120ml)
・ ウィスキーダブル 1 杯 (60ml)

糖尿病と飲酒量
糖尿病になる原因は、 飲酒以外に糖質の過剰摂取があります。
お酒を選ぶときには糖質量を確認し、 なるべく糖質の少ないお酒を選ぶようにしましょう。

まとめ
過度な飲酒は、 糖尿病 ・ がん ・ 肝疾患 ・ 脳梗塞 ・ 胃炎などの疾患リスクを上げます。特に、 糖尿病の方は血糖値の上昇を防ぐためにも糖質が少ないお酒やおつまみを選ぶ
ことが大切です。 また、 疾患リスクを上げるだけでなく脱水・こむら返り・不眠の原因にもなりますので、 飲酒前後にコップ1 杯の水を飲む、 飲酒後の入浴や寝酒は避けるなどの対策を行いましょう。
これからは多量飲酒をやめる、 「適度な飲酒量」 を守るなど、出来ることから始め、 お酒と上手に付き合いましょう。
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