GYC通信Vol.11発行
- ginzayasueclinic
- 2021年1月18日
- 読了時間: 5分
更新日:2月13日
当クリニックの院内報「GYC通信Vol.11」を発行しました。今回は「コロナ禍での血糖値悪化に注意」と「今年の寒い冬は、脳梗塞に要注意!!」です。是非ご覧ください。
コロナ禍での血糖値悪化に注意
2019 年厚生労働省によると、糖尿病が強く疑われる方は、男性は約5 人に1 人、女性は約10 人に1 人と年々増加しています(図1)。新型コロナウイルス感染の重症化につながる基礎疾患として糖尿病が挙げられており、血糖コントロールの重要性が喚起されています。

糖尿病がなぜ悪化?
今年の冬は特に血糖コントロールの悪化に注意が必要です。その理由は、寒さに加えコロナ禍による生活様式の変化が認められるためです。つまり、寒さとコロナにより在宅時間が増えることで、運動不足・過食・ストレス・自律神経の乱れが起こりやすくなります。これらは全て血糖値上昇のリスクとなります。
コロナ禍でどうすればよいか
まだまだ続くウィズコロナ生活の中では、下記のことに注意し、血糖値の悪化を防ぎましょう。
【食事】
●炭水化物を控える
ご飯、パン、餅、麺類は、長期保存や調理が簡単なため摂取の頻度や量が増えます。丼物や麺類など炭水化物の単品食べはやめて、複数の食材を選び、そして肉・魚・野菜等のおかずを先に摂りましょう。炭水化物を選ぶなら、玄米、雑穀米、ライ麦パン等食物繊維の多いものを摂取することがおすすめです。
●オススメはまいたけ
まいたけは食物繊維豊富なだけでなく、α- グルカンやMX- フラクションといった血糖降下作用のある成分が含まれます。右のレシピを参考に食事に取り入れましょう。
【運動】
●食直後に軽めの運動
食後およそ15 分間は、消化吸収のため胃腸に血液が集中します。食直後に体を動かすことで、手足の筋肉に血液を分散させ胃腸の動きを鈍くし、糖の吸収を抑えることができます。
●“進化系” かかと落とし
つま先を竹踏みにのせ、かかと落としを1セット30 回毎食後に行うのがおすすめです。竹踏みを使うことにより、つま先より下にかかとを落とすことで、ふくらはぎの筋肉に負荷がかかりやすくなり、効果が高まります。

管理栄養士オススメレシピ
塩麴まいたけ

【材料】
まいたけ 1パック
★塩麹 小さじ1
★おろししょうが小さじ1/2
★オリーブオイル小さじ1/2
白ごま 適量
【作り方】
まいたけは手で食べやすい大きさに割く。
耐熱皿にのせラップをし、600wのレンジで2分温める。
★の調味料を合わせて、加熱したまいたけと和える。
器に盛り、ごまをお好みでかけて完成
【ポイント】
食物繊維豊富なまいたけ、発酵食品である塩麹、腸内で潤滑油の役割を果たすオリーブオイルの効果で、腸内環境が改善されます。腸内環境を整えることは、免疫力アップ、ダイエット効果、そして糖尿病改善効果が期待できます。さらには、このまいたけを最初に食べる、つまり「まいたけファースト」をすることで、食後高血糖の予防になります。
まいたけとサバ缶のトマトスープ

【材料(2 人前)】
トマトジュース 400ml
サバ缶 1 缶
まいたけ 100g(1 パック分)
茹でたブロッコリー 5~6房
顆粒コンソメ 5g
オリーブオイル 大さじ1
【作り方】
鍋にトマトジュース、サバ缶、ブロッコリー、顆粒コンソメを入れて火にかける。サバ缶は汁ごと入れ、食べやすい大きさにほぐす。煮立ったら火を止め、無限まいたけとオリーブオイルを加え、混ぜ合わせて完成。
【ポイント】
トマトのリコピン、ブロッコリーのビタミンC は抗酸化力が強く、体内の酸化ストレスを除去し、インスリン抵抗性の改善が期待できます。リコピンは、温めること・油と一緒に摂ることで吸収率が上がり、効率的に摂取することができます。そして、サバ缶に含まれるDHA ・EPA は血液サラサラ作用があり、動脈硬化予防となります。
今年の寒い冬は、脳梗塞に要注意!!
今年の冬は寒くなる!
今年は、太平洋赤道域東部の海水温が低くなる、ラニーニャ現象が発生しています。この現象が起こると日本の冬は気温が低くなる傾向があります。図1のように、統計的に夏と並んで寒い冬に増える脳梗塞には注意が必要です。

高血圧は脳梗塞の引き金になる
日本では、年間約6 万人の方が脳梗塞で亡くなっています(※1)。また死に至らなくても、手足のマヒなどが残り、生活に支障が出る場合もあります。脳梗塞の原因の1 つには動脈硬化があり、高血圧が続くと血管に無理な力がかかり、ダメージが蓄積され動脈硬化が進行します。20 歳以上の国民の2 人に1 人は高血圧であり(※2)、脳梗塞予防の観点から血圧の管理が重要になります。
なぜ冬場に脳梗塞が増えるのか?
冬場の血圧の悪化には以下のような要因もあり、それに伴い脳梗塞のリスクが上がります。
●ヒートショック…急激な環境温度の変化によって、血圧が上下に大きく変動することで起こる、健康被害の総称( 例: 暖かい部屋→寒い脱衣所→熱いシャワー)
●モーニングサージ…薬の効果が切れる、急に動き始める、寒さで交感神経活性が亢進するなどの要因によって、早朝に高血圧になること。さらには、湿度が低く空気が乾燥しているため、体の水分が知らぬ間に失われる、かくれ脱水からの脳梗塞にも注意です。冬場の血圧の悪化を防ぐためには、家の中での寒暖差にも気を付け、こまめに水分を摂ることを意識しましょう。
脳梗塞予防には普段からの血圧測定が大事
高血圧・脳梗塞を予防するためには、まずは自分の血圧を知ることが大切です。血圧は、気温や食事、ストレスなどにより1 日の中でも大きく変化します。血圧は、一喜一憂せずそのトレンドを見ましょう。最近注目されているのは、自宅でリラックスした状態の家庭血圧で、成人では115/75mmHg 未満が正常とされており(※3)、現在の降圧目標は、表2 のようになっています。また、様々な血圧計が出ており、手首に巻き付けて測定できるものもありますが、心臓と同じ高さに保ちやすい上腕で測定ができる機械を選びましょう。出張などで外出の多い方には、持ち運びが便利なチューブレスの血圧計もあり、おすすめです( 図3)。



※1: 平成29 年人口動態統計の概況、
※2: 平成30 年国民健康・栄養調査、
※3: 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019
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