糖尿病について
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糖尿病についての理解を深めるためのコラム
糖尿病腎症
糖尿病腎症とは
糖尿病腎症は、慢性的な高血糖が原因で腎臓の血管が障害を受け、徐々に腎臓の機能が低下する病気です。腎臓は、老廃物の排泄や必要なミネラルなどの再吸収、血圧の調整、貧血の予防などの働きがあります。腎機能が低下すると、尿中にアルブミンというたんぱく質が排出されやすくなります。また老廃物の排泄のための血液濾過量が減り、GFR(糸球体濾過量:eGFRで代用)という値が低くなります。尿アルブミンとeGFRを調べることによって、腎症の程度を判定します。
まずは随時尿で尿アルブミンが30mg/gCr未満を第1期とし、これを超えると第2期と判定されます。さらに、300mg/gCr以上になると第3期と判定されます。
eGFR 30ml/分/1.73m2未満となると尿アルブミン値にかかわらず第4期とし、たんぱく・カリウム・水分制限など厳しい食事制限が必要となります。さらに腎不全が進行し透析導入に至った状態を第5期とします(表1)。
できるだけ腎症の進行を遅らせるためには、厳格な血糖・血圧・脂質の管理、さらには肥満予防・禁煙などが重要です。
最終的に腎症が進展すると、生命の維持が困難となり、透析療法や腎移植が必要となります。透析では、週2~3日、1回3~4時間かけて治療を行うため拘束時間が長く、生活や体に大きな負担がかかります。
なお、年間約38,000人の透析導入患者のうち、約42%の16,000人は糖尿病腎症が原因疾患の第1位となってます(グラフ1)。
糖尿病腎症のリスクを高める原因
腎症のリスクを高める原因は、糖尿病の悪化だけではありません。以下のグラフでは、高齢に続いてアルブミン尿、喫煙、歯周病、脂質異常症などが腎症の発症リスクを高めています(グラフ2)。一見関係のないような生活習慣にも、腎症のリスクは潜んでいます。
糖尿病腎症を防ぐには
腎症を防ぐには、厳格な血糖・血圧・脂質の管理に加えて肥満改善・禁煙が重要です。
〇3か月に1回尿検査を
保険診療では3か月に1回尿アルブミンのチェックが可能です。
〇良好な血糖コントロールを
HbA1c7.0%以下を目標に、食事・運動・薬物療法を行います。
〇良好な血圧コントロールを
家庭血圧125/75mmHg未満を目標に、食事療法は減塩、薬物療法は腎機能低下を抑制する降圧薬の選択が必要です。