糖尿病について
あなたはどれくらい知っていますか?
糖尿病についての理解を深めるためのコラム
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症とは
糖尿病による慢性的な高血糖が原因で眼の網膜という組織が障害を受け、視力を失う病気です。網膜とは、眼の中に入ってきた光を刺激として受け取り脳の視神経に伝達する役割を持つ薄い膜(図1)で、カメラでいうとフィルムの働きをしています。その網膜に出血や浮腫、剥離などが起こり、視力障害が発症します。糖尿病網膜症の怖いところは、自覚症状がないまま病態が進むことです。ある日突然「視界が曇ったように見える」、「視界に黒いものがある」といった症状が現れた頃には、失明を覚悟しなければならないほど病態が進行していることもあります。糖尿病網膜症が原因で年間3,000人が中途失明になっています。
糖尿病網膜症の病期
糖尿病網膜症は、正常→単純網膜症→増殖前網膜症→増殖網膜症と進行します。
1 正常
2 単純網膜症:毛細血管が破れて、網膜に点状や線状の出血が見られます。
3 増殖前網膜症:血管の障害が繰り返されることで、狭窄・閉塞が起こります。
また、血液が網膜に十分に流れず、虚血状態となり、むくんでしまいます。
4 増殖網膜症:網膜の虚血状態が進行すると、新しい血管が作られます(新生血管)。
新生血管は脆く壊れやすいので、大きな出血を起こすことがあります。また、網膜剝離を引き起こして失明に至る恐れがあります。
糖尿病網膜症の見え方と検査所見
糖尿病網膜症が進行すると、ある日突然この様な見え方になっていきます。
眼底検査所見
糖尿病網膜症を防ぐには
◯定期的な眼底検査を
・病期によって1か月・3か月・6か月・12か月ごとの定期検査が必要です
・定期的に眼科通院をしましょう
・重症病変の場合は、早期に光凝固療法・手術を行います
◯良好な血糖コントロールを
HbA1c7.0%以下を目標に、肥満の改善やカロリー・糖質制限などの食事療法と継続的な運動療法を行い、生活習慣の改善に努めましょう。高血糖が改善されない場合は薬物療法を開始します。
◯良好な血圧コントロールを
家庭血圧125/75mmHg未満を目標に、食塩制限・野菜の積極的摂取などの食事療法、肥満の改善、継続的な運動療法、節酒、禁煙といった生活習慣の改善が必要です。降圧目標に達しない場合は薬物療法を開始します。